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【小波の京女日記】


2012年04月07日 曲目紹介,ビゼー「カルメン組曲」

_ この文章は,私が末席を汚しているアマオケの演奏会のために書いた曲目紹介です。日記には時々書いておかないと見捨てられるので,こちらに転載してみました。お好きな方はどうぞ。


みなさんの中でカルメンのハバネラを聴いたことのない人はいますか?はい,手を挙げて!いませんよねえー。え,そんな曲知りませんて?いえいえ聴けば思い出しますから,はい。

この曲は日本でも昔から有名でしてね,浅草オペラでも人気の出し物だったんだそうです。井上ひさしの黙阿弥オペラというお芝居は,明治維新でリストラされた侍がお上からもらった百両のお金で銀行をつくる話なんですが,そこでもハバネラが唄われてるんです。歌の途中に,オーケストラがフォルティッシモで突然「ジャジャッジャッジャン!」と来るところがありますよね。,ここでみんなが「ひゃ・く・りょ・おー!」と唱和する仕掛けになってて客席は大爆笑するんですが。あ,カルメンでしたね。ごめんなさい。

主人公のカルメンは,ジプシー,最近はロマというようですが,つまりヨーロッパを旅する流浪の民の女なんですね。歌が上手で男心をもてあそぶのが好きな魔性の女ってわけよね。そんなんで,前奏曲の不気味なメロディーは,女の魔性とカルメンの悲惨な運命を予言しているのね。

そのカルメン,すごい美人なんだけど今でいえばヤンキーねえちゃんなんですね。街で派手に喧嘩をして捕まってしまう。それを兵隊のドン・ホセが牢屋に送っていくことになったわけ。ところがカルメンはこのまじめな兵隊さんを誘惑するんですねえ。腰をくねらせながらハバネラをうたうカルメンにドン・ホセは手もなく一目惚れしちゃった。実はミカエラというかわいい婚約者がいたんですよ。ひどいでしょ?カルメンは「あっかんべ」といったかどうか分からないけど,まんまと逃がしてもらう。

さて逃がしてもらったそのときには,もう次の男,闘牛士のエスカミーリオにしかカルメンの心はなかったのね。そりゃ闘牛士の歌なんかかっこよく歌うもてもてのイケメンですからねえ。カルメンにしてみれば「ドンくさいドン・ホセなんかいや!」なんちゃって。女心って怖いですねえ。

そしてドン・ホセは罪人を逃がすという罪を犯したものだから,盗賊の一味になって落ちるところまで落ちていっちゃう。ミカエラはそれでもドン・ホセを見捨てずに尽くそうとするのね。女心は切ないですねえ。でもドン・ホセはカルメンを追って,ついには裏切りをなじって短剣で刺し殺してしまうんです。哀れですねえ,男心は。

場所は闘牛場の前,中ではエスカミーリオが満場の喝采を浴びながら牛と闘っているんですよ。冷たく横たわるカルメン,立ち尽くすドンホセ,中からは祭りの音楽が騒がしく鳴り響いて来ます。ああ,なんという悲劇の終末でしょう。人の心は哀しいですねえ。それでは,それでは,それでは。