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【小波の京女日記】


2012年09月10日 冷蔵庫なしに保冷するには [長年日記]

_ 冷蔵庫がない!

とある学生の宿泊施設での夏休みゼミ研修。夜のおしゃべりのためにと,ビールや酎ハイやツマミを買い出しに行って来たまではよかったが,宿舎には冷蔵庫がない。店ではしっかり冷えたケースに置かれていたので,そのまま飲めば何も問題はないのだけど,3時間か4時間はどこかにおいておく必要がある。普通にそこらに置いていたら,ぬるくなってこれはつまらない。

施設の人に頼んで冷やしておいてもらおうかと誰かが言い出したけど,それも無理。アルコールが禁止というわけではないが,欲しければ備え付けの自販機から買えという,要するに持ち込み禁止の営業方針らしい。

ということで,こっそり宿舎にビールやドリンクを持ってきて,なんとか3,4時間は冷たいままでおけないかということになった。さて,ここで問題。 どうやったら温まってしまわないようにしばらく保管できるだろうか?

  1. しっかりと布団にくるんでベッドに置く
  2. 風通しのよい窓際におき,濡らしたタオルを巻いておく
  3. 洗面所の流しに入れて,水を流しておく

この3つのうち,どれが正解だろうか?少なくともうちのゼミ生はまったく分からなかった。

_ ありがちな答え

おそらく,2あたりを正解と思う人が多いのではないだろうか?インドの方では素焼きの水瓶を風通しのよいところに置いておくと,蒸発熱で温度が下がって冷たい水が飲めるという話が,わりとよく知られているからだ。だが,これは室温より低い温度にはできるが,せっかく0℃近くまで冷やしてあるビールが30度の外気温より数℃低い程度になってしまったら,とても飲み頃というわけにはいかない。

3と答える人もいるのではないだろうか。昔はスイカなどを冷やすのによく流水を使ったものだ。谷川の水に浸して冷やしたスイカは,確かに冷たくておいしい。しかし,これで得られるのは水道水と同じ温度だ。夏の水道水なら20℃程度でも冷たいほうだけど,ビールには向かない(ちなみに水道水のがぶ飲みがそれほど美味しくないのは温度のせいで,10℃位に冷やして飲めば十分美味しいものです)。

_ 正解は

正解は(こんな順序で書いてくれば当然だが)1だ。宿泊室には当然布団があるので,買ってきたビール缶類をポリ袋に入れたまま,布団でぐるぐる巻にくるんでやる。寒い時に人が寝るのと同じく,毛布と布団を二重に使うともっといいかも知れない。

このやり方を目撃したゼミ生は,「布団で巻いたら暖かくなるんじゃないですか!?」とびっくりしていた。しかし4時間後にゼミの反省会(飲み会)を始めて,布団にくるまっていたビールや酎ハイがちゃんと冷たかったので,みな感心して,さすがうちの先生は頭がいいと称賛の声が上がった・・・なんてことはありません。

要するに,冷たいものが温まらないようにするには外から熱が侵入しないようにすればよい。それには布団とか毛布が結構有効なわけだ。人が寝て温かく感じるようなものほどよい。その温かさは,体の熱が外に出ていかないことによるものなので,保温と保冷は本質的に同じ仕組みに支えられている。

逆にもしも,断熱材のようなものが,保温には有効だが保冷には効かないということがあったとすると,これは面白い。熱力学的にはなかなかありそうもない素材だし,うまくすると第二種の永久機関が実現できるかも知れない(ウソです)。しかし,見かけ上そんなふうに振る舞う半断熱材とでもいったものは,工夫次第では作れるかどうか。できたら変わった応用がありそうだ。