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【小波の京女日記】


2014年10月19日 「笑の内閣」京都公演

_ 「笑の内閣」京都公演を観た

昨日の夜は劇団「笑の内閣」京都公演「福島第一原発舞台化計画-黎明編-『超天晴!福島旅行』」を観てきました.場所は下鴨塚本町で長年芝居小屋を架けているアトリエ劇研.劇団のサイトに掲載されているあらすじを下に引用しておきますので,ざっと予習したい方はどうぞ.

この劇団については,昨年,ネウヨ(ネット右翼)になって反韓に狂ってしまう若者とその彼女をコメディ化した「ツレがウヨになりまして」という芝居を観てなかなかおもしろかったので,今回も楽しみとちょっぴりの「怖さ」を抱いて出かけました.今回は,原発事故の後の福島への高校生の修学旅行という話で,それをコメディにするというのは相当に「あぶない」.それを承知で果敢に舞台化した作者・演出家の高間響の度胸のほどを見せてもらおうという,そんな期待です.

観ての感想を一言で書くと,「見事,よくやった」.

硬派のドタバタ喜劇

大津のとある高校では小さな権力抗争のドタバタがあり,その中で修学旅行を福島にしようという思い切った案が出る.出したのは,今や疎外されている遣り手教頭と先生たち.その案をめぐってドタバタまじりの,時としてシリアスな場面がエネルギッシュに展開される.最後は,激論の中で修学旅行の意味を確認した高校教員たちが,福島への修学旅行の実現へと動き出すわけです.コースは名古屋港からフェリーで仙台に行き,常磐道を南下して富岡町へ行き現地の人の案内で原発事故について学び,その後いわき,会津,猪苗代湖などを回って東京から新幹線で京都へというよく考えられたもので,脚本を書くにあたって入念な下調べがされているようです.

芝居のひとつのクライマックスは現地の放射線の危険をめぐる激論で,ここに高間さんの勉強の成果が投入されているといっていい.彼独りで何度も現地に足を運び,8月には劇団の合宿をいわきで行なった成果が,きっちりと詰められていて,この問題をずっと考え続けてきた人の胸に落ちるものでした.科学的な部分をよく押さえて,一部の人々の狂信的な「反原発」(「鼻血」とか「奇形児」とかを言い立てる人がいるわけで)の主張を事実と科学的な根拠にもとづいて論破し,一方でこの国の原発と原子力政策に対してはきっぱりと批判するという,単純ではないが理性的な態度が貫かれている.とはいえ,いろいろな状況に置かれた人々への配慮にも怠りはない.「見事」というのはそういうことです.

歌がよかった

劇中,福島出身の若い女性教師が歌う挿入歌は,ちょっとぐっと来ました.「津軽海峡・冬景色」を思わせる演歌が登場すると,客席に笑いが起きる.しかし背後のスクリーンに現在の富岡町の様子が映されて,故郷への思いが切々と歌われると,みな吸い込まれて空気が変わる.歌詞がいいのです.劇作家の「頭」の部分を職員室の激論に投入したとすると,「思い」の部分はこの歌詞に賭けたんじゃないかと思いました.理屈で表現できないデリケートな人の心の部分を歌に預けたといったらいいかも.歌が終わると大拍手で,行儀のいい京都の観客には珍しいことでした.

さて,芝居が終わった後,出口のあたりに役者さんたちが並んで見送っている前に高間さんがいたので,「よかったですよ.すごいねえ」と声をかけたら,「ありがとうございます!この子も京女なんですよ」と,すぐ脇の,さっき素晴らしい歌を聴かせてくれた女優さんを紹介してくれました.彼女にも声を掛けて「この方はウィキペディアにも出ている京女の教授なんや」.ちょっとその子と話したら発達教育学部の3回生とのこと.

それにしても,なんで高間さんはおいらを見るなりそんなことを言ったのだろうか?自己紹介して話したこともないし,どうして面が割れていたのかよう分からん.ツイッターで追いかけられていたのだろうか?ネット社会恐るべし.

 あらすじ(劇団サイトから)

滋賀県大津市にある私立高校、鷹真学園高校は3代目理事長が就任した20年前以来、管理職は必ず学園OB が勤め、外様派は冷遇されていた。しかし、2年前近隣に出来た西園寺大学附属守山高校に志願者をとられている現状に危機感を覚えた校長猿田博士は、大手予備校世阿弥ゼミナールの名物講師だった間久部録郎をヘッドハンティングし教頭に抜擢、歴代校長は必ず教頭から昇格するため、間久部が初の外様校長になるのは確実視されていた。

しかし、急進的な間久部の改革姿勢に、猿田をはじめとするOB派は反発し失脚を狙う。間久部は失脚を免れるためには、理事会の支持が不可欠であった。

そんな中、学園では修学旅行の旅行先を決める会議が行なわれようとしていた。学園は、毎年北海道に行っていたが、行程中ずっとスキーをする旅行はたいへん不評で、生徒自ら行き先を選べる西園寺に志願者が流れる原因となっていた。ここで、魅力的なプランを出せば理事会の支持が得られる、そう踏んだ外様派が出した案は「福島」であった。

果たして間久部の狙いは、政争の具なのか、真に被災地に寄り添うためなのか?笑の内閣新作は、福島に観光に行く意義を、遠い滋賀を舞台に問う学園政治劇!