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【小波の京女日記】


2014年02月16日 原発事故後の放射能汚染とセシウムの問題について

_ 原発事故後の放射能汚染とセシウムの問題について

Facebook で他の人にコメントするために書いたものだが,公開の意味が多少はあるかも知れないので日記に転載.

現在の除染はセシウム137に絞ってよい

現状で対策すべきγ線は,セシウム137から放出される 660keV のものに絞ればよい.これは断言して構いませんし,前提とすべきです.プルトニウムだストロンチウムだという人がいますが,それは物理や量的評価を何も知らない無知な人かトンデモさんかです.

コンクリート遮蔽が効果と費用から考えてベスト

まず,660 keV のγ線の遮蔽については,施設的にはコンクリートがコスト,環境負荷の点でもっとも優れています.それには2つの理由があります.

  • セシウム137の半減期が30年であることは周知の事実で,100年で1/10まで減っていきます.分厚いコンクリートでできた動かない構造物であれば,その間問題なくもちます.1000年もしたらコンクリートも崩れてしまうかも知れませんが,そのときには十分に減衰しきっている.
  • この660 keV のγ線のコンクリート中での透過率は 50 cm で 0.003 程度です.つまり,この厚さの遮蔽壁に囲んでしまえば,空間線量は100分の1以下に落ちるはずです.施工上は,山間や線量の高い耕作放棄地の半地下として,上から遮蔽の土のうを載せるのがよいでしょう.ちなみに土の層でも1メートルもあればかなりの遮蔽効果が期待できると考えたのですが,細かいデータが今見当たりません.

ならば,各自治体ごとに必要な場所を確保して,小さなダムを作る程度の工事をすれば,安全な置き場は確保できるのです.

セシウムイオンと粘土鉱物との結合の強さは決定的な要因

次に,セシウムイオンの化学的性質の特異性は頭に置いておかねばなりません.(化学屋にとって)興味深いことには,粘土鉱物ときわめて強くバインドしてしまい,水,酸,塩基,その他の溶剤で洗い出すことは困難です.したがって土環境からなかなか脱出しない.これは功罪の両面をもたらすことになります.

・功:置き場からの流出はほとんどない.仮に雨水が浸透して流れ出してきても,無視できる程度の流出しかない.地下水への移行も,いろいろなデータから見るとたぶん気にしなくて良い.他に作物への移行が少なくてすむという大きな利点も出てくるのですが,それは別の筋なので,割愛します.

・罪:分離や濃縮がきわめて困難.おびただしい数の試みが事故後なされていますが,一旦土中に入り込んだセシウムイオンを可溶化して分離することは,ほぼ不可能なようです(ここでもインチキが跳梁跋扈して,私は喧嘩を吹きかけて可能な限りつぶして来たのですが).

減容化と安全な貯蔵を阻む法制度の問題点

ただし,山間地の落ち葉や樹木については,焼いて灰にすることで濃縮と減容化ができるのですが,それには手がついていませんし,減容化した灰を持ち運んだり管理することが既存の法律では想定されていない,あるいは禁止されているという,法制面での障害があります.政治家は何をやっておるのかですね.

こんなことは,事故後いろいろなところに提案したりネットで発信したりもしたのですが,まったく科学的な対応が進まないところに,長嘆息せざるを得ません.